2026-02

文芸の夏

リンカーン

文芸の夏ー5行田のスーパー裏の路地。路地に座り込んだ私はアルコールランプに火を点けると、すかさず阿部君が空き缶をその火に掛ける。和文タイプの活字を缶にくべると瞬く間に解けて鉛になる。それを木のスプーンで少しすくって冷まし、頃合を計って掌に載...
文芸の夏

バスの湯

文芸の夏ー4雪が舞っている山中の、ひと気の無いバス専用駐車場に温泉が湧いていた。そそくさと裸になって腰にタオルを巻いた私は、震えながら駐車場の隅にある巨大な浴槽に小走りで向かった。浴槽はコンクリート打ちっ放しで風情も何もないが、何より盛大に...
文芸の夏

コーヒー前の仕事

文芸の夏ー3高そうな…ではなくて高級そうなレストランで食事を終えると、1人のボーイがテーブルに水の入った銀色の器を置き、恭しく一礼して下がった。入れ替わりに別のボーイが、真っ赤に焼けたゴロタ石をやっとこで挟んで持って来ると、洗面器の水の中に...
文芸の夏

オルグ

文芸の夏ー2組合のオルグに参加するように言われたので夕方の仕事をさっさと済ませ、会場へ向かった。会場は高そうな寿司屋だった。泣きはらしたような顔をした若い店員に案内されて2階へ上がると、新入社員だった頃世話になった上司が「ヨッ、同志書記長!...
文芸の夏

兎が生き返った

文芸の夏ー1印刷工場の中で飼っている兎に餌をやろうとしたら、兎小屋の扉が開いていて中は蛻の空だった。探していると件の兎は輪転機の下で倒れていて、「おいッしっかりしろ!」「小隊長殿、無念であります。じ、自分の分までどうか、どうか…」「おい! ...
文芸の夏

文芸の夏

夏は文芸です。文芸とは関係ありません。TOPへ読んだだけで頭が悪くなるようなイカレた短文はかなり前から手掛けているが、殆どは夢で見た話を繋ぎ合わせ、辻褄を合わせただけのものだ。再掲に当って一部の文にはAI画像による挿絵を追加しているが、その...
贋誌百珍

ある兵士の夢

夢に見た鉄道「1月22日 マラリヤが漸次よくなつてきましたので、さぎよ(作業) しました。午後空襲ありました。せん(戦闘機)3、ばく(爆撃機)2」「1月25日 慰問袋とどきました。岡部伍長殿と大出君とで中隊しえき(使役) でました」「1月3...